2025.1 今年最初の東京観劇、加藤健一事務所「音楽劇・詩人の恋」、KERA CROSS「消失」
1月22日、本多劇場で加藤健一事務所公演「音楽劇・詩人の恋」の初日、23日、紀伊國屋サザンシアターでKERA CROSS「消失」を観ました。今年最初の東京観劇であり、地元も含めた初観劇でした。

「詩人の恋」はシューマンの連作歌曲「詩人の恋」をドラマ化したものです。
舞台は1986年のウィーン。老声楽家・マシュカン教授(加藤健一)の下を訪れたかつて神童と呼ばれた米国のピアニストの青年スティーブン(加藤義宗)が、教授の指導により「詩人の恋」の歌唱指導を受ける様子が喜劇的に演じられる二人芝居です。
音楽劇と銘打っているのは、歌曲集「詩人の恋」の歌唱レッスンの様子がドラマの多くの部分を占め、そこに伝えたいものがあるからのようです。


ハインリッヒ・ハイネの詩による歌曲集「詩人の恋」は、「第1曲から第6曲までは愛の喜びを、第7曲から第14曲までは失恋の悲しみを、最後の2曲はその苦しみを振り返って歌っていると考えることができる」(Wikipediaより)と言われています。
その成り立ちがベースなのでしょう、ドラマの中でのマシュカン教授のレッスンも、スティーブンの表面的・技巧的に走る表現を叱責しながら指導します。
スティーブンはそれに反発しながらも、やがて彼自身の人生で初めて心が震える演奏が出来て、更にシューマンの連作歌曲の世界に没入していくことになり、その展開は、見ているこちら側に、芸術表現とはまさにそういうことなのだろうと思わせ、感動的です。
スッタフ名が掲載された上の公演パンフ写真にはありませんが、この作品の作者はジョン・マランス。公演パンフによれば、「1957年、アメリカ・メリーランド生まれ。劇作家のほか、脚本家、作詞家、編集者としても活躍。デューク大学での専攻は数学、音楽を副専攻で学ぶ。1996年、『詩人の恋』(原題:Old Wicked Songs)でピューリッツァー賞にノミネート。2013年、グッゲンハイム・フェローシップ受賞。」とあります。
作品の翻訳は小田島恒志さん、訳詞は岩谷時子さん、演出は藤井ごうさんという布陣です。
翻訳を通して、また演出や俳優の演技を通して分かることですが、「音楽劇・詩人の恋」は、いい作品だと思います。全く飽きさせません。
いい作品、面白い作品には共通して意外性やどんでん返しなどがあります。言い換えれば起承転結や、能で言うところの序破急があるということだと思いますが、「詩人の恋」でもマシュカン教授が第二次大戦中にナチスドイツによるユダヤ人狩りの犠牲者であることが分かったり、始めはプロテスタントを自称していたスティーブンが実はユダヤ人であることが分かるなど、「詩人の恋」に籠めた反戦のドラマの様相が浮かび上がってくる舞台でした。とても感銘しました。

もう1本の舞台、23日に観た「消失」は、残念ながら私の肌に合わない芝居で、第1幕が終ったところで退席しました。
「消失」は不条理劇に分類されるようですが、昨年だったかに観た舞台「男たち」での藤井隆の芝居が良かった印象が強く残っており、「消失」に藤井隆が出演するということで期待して観に行ったわけです。
しかし、芝居はやはり台本ですね。自分が全く好みじゃないジャンルの舞台は、いくら出演者が魅力的でもちっとも面白くないということを改めて実感しました。
「詩人の恋」はシューマンの連作歌曲「詩人の恋」をドラマ化したものです。
舞台は1986年のウィーン。老声楽家・マシュカン教授(加藤健一)の下を訪れたかつて神童と呼ばれた米国のピアニストの青年スティーブン(加藤義宗)が、教授の指導により「詩人の恋」の歌唱指導を受ける様子が喜劇的に演じられる二人芝居です。
音楽劇と銘打っているのは、歌曲集「詩人の恋」の歌唱レッスンの様子がドラマの多くの部分を占め、そこに伝えたいものがあるからのようです。
ハインリッヒ・ハイネの詩による歌曲集「詩人の恋」は、「第1曲から第6曲までは愛の喜びを、第7曲から第14曲までは失恋の悲しみを、最後の2曲はその苦しみを振り返って歌っていると考えることができる」(Wikipediaより)と言われています。
その成り立ちがベースなのでしょう、ドラマの中でのマシュカン教授のレッスンも、スティーブンの表面的・技巧的に走る表現を叱責しながら指導します。
スティーブンはそれに反発しながらも、やがて彼自身の人生で初めて心が震える演奏が出来て、更にシューマンの連作歌曲の世界に没入していくことになり、その展開は、見ているこちら側に、芸術表現とはまさにそういうことなのだろうと思わせ、感動的です。
スッタフ名が掲載された上の公演パンフ写真にはありませんが、この作品の作者はジョン・マランス。公演パンフによれば、「1957年、アメリカ・メリーランド生まれ。劇作家のほか、脚本家、作詞家、編集者としても活躍。デューク大学での専攻は数学、音楽を副専攻で学ぶ。1996年、『詩人の恋』(原題:Old Wicked Songs)でピューリッツァー賞にノミネート。2013年、グッゲンハイム・フェローシップ受賞。」とあります。
作品の翻訳は小田島恒志さん、訳詞は岩谷時子さん、演出は藤井ごうさんという布陣です。
翻訳を通して、また演出や俳優の演技を通して分かることですが、「音楽劇・詩人の恋」は、いい作品だと思います。全く飽きさせません。
いい作品、面白い作品には共通して意外性やどんでん返しなどがあります。言い換えれば起承転結や、能で言うところの序破急があるということだと思いますが、「詩人の恋」でもマシュカン教授が第二次大戦中にナチスドイツによるユダヤ人狩りの犠牲者であることが分かったり、始めはプロテスタントを自称していたスティーブンが実はユダヤ人であることが分かるなど、「詩人の恋」に籠めた反戦のドラマの様相が浮かび上がってくる舞台でした。とても感銘しました。
もう1本の舞台、23日に観た「消失」は、残念ながら私の肌に合わない芝居で、第1幕が終ったところで退席しました。
「消失」は不条理劇に分類されるようですが、昨年だったかに観た舞台「男たち」での藤井隆の芝居が良かった印象が強く残っており、「消失」に藤井隆が出演するということで期待して観に行ったわけです。
しかし、芝居はやはり台本ですね。自分が全く好みじゃないジャンルの舞台は、いくら出演者が魅力的でもちっとも面白くないということを改めて実感しました。
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