2024.8 奥会津7町村が興味深い企画展を開催 ~ 地域の魅力を再認識・再発見する機会として発展する予感
8月24日、三島町交流センター山びこで開催された奥会津7町村文化施設間連携企画展「奥会津の冬」関連事業ーー「奥会津のむかし話 ~冬 ~」に参加して来ました。7月にお伺いした五十嵐七重先生宅で紹介された事業です。
語り部サークル七つの子からは、私と涌井スミエさんの2名だけの参加でしたが、会津こと葉の会や奥会津昔話の会などからは大勢のメンバーが参加されていました。
事前予約制、100人限定の会場は、開催地三島町や奥会津各地の方々、また遠く他県から来られた方もおられたようで、関心の高さが伺えました。
奥会津地域7町村とは、檜枝岐村、只見町、南会津町、柳津町、三島町、金山町、昭和村のことで、企画展の主催者である只見川電源流域振興協議会会長の押部源二郎金山町長は、企画展の図録「奥会津の冬」(総ページ数160)の中で事業の目的を「地域内を移動する際に垣間見える景色や、そこに暮らす人々の自然な姿を通じて、奥会津地域のありのままの地域性や文化に触れてもらうことが狙いです。また、各町村にある既存のミュージアム(博物館、美術館、資料館等)を地域内外の人々が周遊することにより、地域の文化的な価値の理解と、文化を通じた交流人口の拡大を目指すものです」と述べています。
また、多分図録の編纂にも関わられたであろう奥会津ミュージアム館長で民俗学者の赤坂憲雄さんは、「夏という季節に、奥会津の冬をテーマとした特別展を開催する意外性」に触れながら、「縄文の時代から奥会津に連綿と繋がって来た物作りが、冬という季節を選んで行われてきた」、「だから、奥会津の冬が大切なテーマとして浮かびあがる」と述べられた今回の企画展の着眼点は大変興味深く読みました。
さらに続けて赤坂先生が、今回の図録は、江戸時代の雪国をめぐる百科全書「北越雪譜」ならぬ「『奥会津雪譜』を作りたいという野心の産物、その先駆けの書」としておられることも、この企画展になお一層の興味を掻き立てられます。
「むかし話」は平成の合併前の10町村=柳津町、三島町、金山町、昭和村、只見町、南郷村、伊南村、舘岩村、田島町、檜枝岐村にゆかりのある「冬」をキーワードにした話を基本に語られました。昔ばなしの会の語りのテーマの立て方の参考になりました。
檜枝岐には語り手がいないということで、五十嵐七重さんが代わりに「河童火やろう」(かっぱ・ひやろう)を檜枝岐の語り口で語られましたが、昔ばなしにはあまり例のない語り手の解釈が表れる、しかも極めて短い(約1分)話で、いつか私も挑戦してみたいものだと思いました。因みに、七重さんによれば、奥会津7町村企画展では来年も「むかし話」があるそうで、そのテーマは「奥会津の ~川~」になりそうだとのことです。
「むかし話」の後は、赤坂憲雄先生と五十嵐七重先生の特別対談が行われ、赤坂先生からは、奥会津の女性=母ちゃん達が暮らしの中で冬をどう捉え、過ごしてきたかが垣間見えて興味深かったなどと感想を述べておられました。
七重先生からは、子どもの頃からの金山での思い出や、同世代で伝承語り部が一人もいないのに、ご自分が伝承語り部になり得た家族環境の偶然性など、これまでなかなか聞く事の出来なかった話なども聞けて大変良かったです。
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