2024.6 背炙山風力発電計画に関し湊町区長会・共和地区町内会区長たちが市長に申入れを行う

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 6月26日、湊町区長会長と共和地区の西田面、上馬渡、下馬渡の3町内会区長が連名で室井照平会津若松市長に対し、「会津若松みなと風力発電事業計画に反対の意思を表明することを求める申入れ」を行いました。
 背炙山では、国の環境アセスメントの対象となっている3つの風力発電事業が進められていますが、中でも、今回申入れが行われた事業は、共和3町内会の簡易水道水源に隣接して建てられようとしているほか、県が土砂災害警戒区域・同特別警戒区域に指定ている沢の上流部に建てられようとしています。
 更に言えば、現在稼働しているコスモ・エコパワーの会津若松ウインドファームの風車は1基当たり2,000㎾の出力ですが、みなと風力の計画はその2倍以上の1基当たり4,200㎾の出力のものを、より住宅地や学校、福祉施設に近い位置に建てようとするものです。
 また、写真家の叶悠眞氏が定点観測によって、絶滅危惧ⅠB類とされている8ツガイのイヌワシの飛翔データを記録し、そのほかにも国天然記念物に指定されているイヌワシの存在も確認されるなど、背炙山は自然豊かな会津若松市を象徴する貴重な存在です。

 申入れに対して、市長が、住民の9割以上の方が懸念を表明していることを重く受け止め、事業者にも厳しい対応を求めていくと応じたことは大きな前進であると思いますが、湊共和地区では、引き続きみなと風力の白紙撤回を求める運動を継続する考えです。
 なお、申入れの全文を以下に紹介します。

「会津若松みなと風力発電事業に対し市長として反対の意思表示を行うことについて」

 湊町共和地区の3町内会は、令和2年に株式会社イメージワンが(仮称)会津若松風力発電環境影響評価計画段階配慮書を公表して以来、一貫してこの計画に対し反対の意思を表明してきました。また、湊町区長会においても、共和地区3町内会がこぞって反対の意思を表明していることを重く受け止め、同様にこの計画に対し反対の意思表明をしてきたところです。
 現在、この事業は、会津若松みなと風力発電事業と名称が定められ、令和5年5月には(株)INFLUXに事業が譲渡され、事業主体が変更されていますが、本事業は私たちの故郷の景観を破壊するものであり、日常生活の安全と安心にとって不必要なものであることを、湊町区長会及び湊町共和地区の3町内会において改めて確認をしたところであります。
 しかしながら、令和5年3月に湊町区長会及び西田面・上馬渡・下馬渡の共和地区3町内会区長は、連名により、市長に対して「湊地区における風力発電施設の一部計画の白紙撤回について」の要望書を提出した経過にありますが、私たちは「会津若松みなと風力発電事業」の計画エリアの大部分が民有地であることを認識しておらず、本事業が国有林野の貸付に関する地元首長の諾否の及ぶ範囲でないことに思い至ったところであります。
 そのため、私たちは改めて本事業に反対する理由を示すとともに、市長におかれては本事業に対する直接的な反対の意思表示をされんことを願い、この申し入れを行うことと致しました。
 私たちが本事業に反対する理由は以下の通りです。
①「会津若松みなと風力発電事業」は、背炙山に出力約4,200㎾の風力発電機5基を建設する計画だが、そのうちの1基は下馬渡から僅か1,000m程度の位置に建設されようとしている。
 これは、現在稼働中のコスモエコパワーの風車よりも一般住宅に近く、単機出力が2倍以上もあるもので、私たちの安全で安心な日常生活と健康が、騒音と低周波音、超低周波音によって脅かされ、破壊されることが懸念される。
②背炙山には、共和3町内会の簡易水道水源地があり、この風力発電計画によって、特に上馬渡と下馬渡の水源への深刻な影響が懸念される。
③風車建設予定地の下部の沢は、すべて福島県が土砂災害特別警戒区域に指定しており、山林の大規模改変や工事で発生する大量の土砂による盛土は、近年各地で頻発している記録的な豪雨によって、熱海市伊豆山地区で起きたような土石流災害をもたらす危険がある。
④本事業は、より巨大な風車を一般住宅や学校、保育所、介護施設に一層近い場所に建設するものであり、湊地区の自然環境や景観、日常生活に係る様々な条件を阻害するものでしかない。
⑤湊地区では、コスモエコパワーの風力発電建設以降、クマが人里近くに多く出るようになったと言われている。更に巨大な風車が造られることになれば、生息域を狭められた野生動物によって、これまで以上に地域の農業と暮らしに被害がもたらされることが懸念される。
⑥背炙山では、クマタカ(国内希少野生動植物種、絶滅危惧ⅠB類)やイヌワシ(国天然記念物、国内希少野生動植物種)の生息が確認されており、風力発電の建設は絶滅危惧種や希少野生動植物種の保護に逆行する。
 以上のことから、市長が会津若松みなと風力発電事業に反対する旨の表明を求める共和3町内会全109世帯(特別養護老人ホームの世帯を除く)中105世帯の小学生以上の住民の署名313筆と地区出身の村外住民の署名4筆を添え、下記の事項について申入れるものです。
 なお、共和地区3町内会の住民人口は、特別養護老人ホームに住所を持つ住民を含め、令和6年4月1日現在396名であり、申入れは共和地区住民のほとんどの者の意思であります。



            (記)

1、市長は、風力発電所建設予定地域である湊町共和地区住民の声を真摯に 受け止め、会津若松みなと風力発電事業に反対である旨を表明すること。

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