2024.5 吉田羊ハムレットに納得! 面白かったPARCOプロデュース・森新太郎演出「ハムレットQ1」

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 5月19日、PARCOプロデュース、シェイクスピア作・松岡和子訳・森新太郎演出「ハムレットQ1」をPARCO劇場で観ました。2月に観劇で上京した時に、吉田羊さんがハムレットを勤めるこの舞台のあることを知り、是非とも観たいと思い直ぐにチケットを手配した舞台でした。
 女優がハムレットを演じる効果がどのようなものか大きな興味がありました。

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 吉田羊さんのハムレットは実に凛とした演技であったばかりでなく、ハムレットが平常でいる時と狂気のフリをした時とが、男優ならこうは行くまいと思うほどの大きな〝落差=変化の大きさ〟がありました。
 また、その〝落差=変化の大きさ〟は演劇の大事な要素とも言えるカリカチュア化が際立つものでもありました。それらを感じた時、声にこそ出しませんでしたが、思わず唸ってしまいました。森新太郎演出の舞台を観るのは初めてでしたが、キャスティングを含めて、素晴らしかったと思います。
 因みに、ハムレットの吉田 羊さん以外の出演者は、次の通りです。

 オフィーリア/フォーティンブラス=飯豊まりえ  ホレイショー=牧島 輝
 レアティーズ=大鶴佐助        ガートルード=広岡由里子
 ポローニアス/墓掘りの2役=佐藤誓  ローゼンクランツ=駒木根隆介
 ギルデーンスターン=永島敬三     マーセラス/僧侶の2役=青山達三
 歩哨/レナルドー/フォーティンブラス軍兵士/オズリック=佐川和正
 ヴォルティマンド/役者(劇中劇侯爵)/従者=鈴木崇乃
 役者(劇中劇序詞役)/従者=高間智子
 コーネリアス/役者(劇中劇侯爵夫人)/従者=友部柚里
 役者(劇中劇ルシアーナス)/従者=西岡未央
 バナードー/隊長/男=西本竜樹
 クローディアス/亡霊=吉田栄作


 中でも、飯豊まりえさんのオフィーリアは、〝これぞオフィーリア!〟といった感じでとても良かったです。
 また、美術・堀尾幸男さんの舞台セットは一杯飾りですが、下手側奥を頂点にした三角形が舞台手前と上手に裾が広がる、言ってみれば巨大な開丁場で、道具と言えば玉座にでも何にでもなる簡略なベンチ式の台座があるだけ、そして背景はヨーロッパを簡略に描いた(リアプロジェクターの映像か?)2枚のドロップ幕──と、とても機能的でよく考えられた装置で素晴らしいものでした。

 シェイクスピア作品については、ごく普通にそれなりに知っているつもりでいましたが、今回初めてQ1とかQ2とかF1とかがあることを知りました。WEBページの「PARCOステージ」にそのことについての記載がありましたので、以下にコピーしました。

シェイクスピア『ハムレット』戯曲の原型とも言われるQ1版を
松岡和子の新訳、森 新太郎の演出で上演!

 シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』。『ハムレット』には三種類の原本があり、二つの四折版(Quatro)がQ1とQ2、もう一つの二折本(Folio)がF1と呼ばれています。現在では、Q1(1603年刊行/約2,150行)が、Q2(1604~1605年刊行/約3,700行)の原型ではないかという説も多く、Q2は草稿版、F1(1623年刊行/約3,550行)が当時の劇団保管の演出台本で、Q2を参考に制作されたとも言われています。
 長さが、現行のF1版の約半分で、物語が凝縮されたQ1版。今回、翻訳を手掛けるのは、シェイクスピア劇全37作品の翻訳を達成した松岡和子。シェイクスピア戯曲を知り尽くした松岡の新訳で上演いたします。
演出は、2021年上演の『ジュリアス・シーザー』(吉田羊主演/PARCO劇場)で、古代ローマの史実のスケールはそのままに現代と地続きの人間ドラマとして描き出し、高い評価を得た森 新太郎。2019年に現行の『ハムレット』、前述の『ジュリアス・シーザー』ほか、数多くのシェイクスピア劇を手掛けてきた森が新たに手掛ける『ハムレットQ1』。正義、そして復讐のためにまっすぐに生き抜いた男と、陰謀渦巻くデンマーク王家の物語を激しく描き出します。


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 PARCOプロデュースの「ハムレットQ1」は松岡和子さんの訳ですが、その訳は見つからなかったので、演劇集団円にも深く関わられた元上智大名誉教授安西徹雄さんの訳本を紀伊國屋書店で求めました。パラパラッとめくってみましたが、大変分かりやすく面白そうです。さっそく読んでみたいと思います。

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