2024.5 戦後の焼け跡の臭いを感じさせる作品を書き続けた鬼才・唐十郎さん亡くなる

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 5月4日、劇作家で演出家の唐十郎さんが亡くなりました。84歳だったそうです。
 極めて有名な方であるにもかかわらず、私は唐さんについてはあまり知りません。氏の戯曲も2冊ぐらいしか持っていません。
 唐十郎さんと言えば状況劇場の紅テントという刺激的な名称と、そこで上演される刺激的なタイトルとエキサイティングな芝居で、60年代後半から70年代の若者に大きな影響を与えていました。
 今から50年以上も以前、70年の12月から73年の10月までの在京時、私がたまに訪れていた新宿の風月堂で、一度だけ唐さんをお見かけしたことがありました。静かに音楽を聴き、黙考しているといった印象でした。
 紅テントの芝居は一度しか見ていません。どこで見たのか記憶が定かではありません。自分の思い込みかもしれませんが、73年、新宿花園神社、「それからのジョン・シルバー」だったと思います。芝居の展開は覚えていませんが、福助3兄弟の一人の根津甚八さんの剽軽な演技、麿赤児さんの迫力ある怪演が脳裏に焼き付いています。……と書きながら、あれは「それからのジョン・シルバー」じゃなくて「腰巻お仙」だったのではなかったかと思い始めています。記憶が危なくなってきました。もしかしたら、紅テントは2回見ているのかもしれません。
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 今も唐作品は度々上演され、このブログにもアップしたことがありますが、この4~5年の間、私は「秘密の花園」と「少女仮面」を観ています。
 唐作品のどこに惹かれるのか自分でもよく分かりませんが、あえて言えば、泥臭い世界観、おどろおどろした人間関係の描写、奇想天外な展開、そして戦後の焼け跡の臭いを感じさせるドラマ世界……といったところでしょうか。
 唐十郎さんが存在したことと、氏の様々な作品は、これからも演劇を志す人たちに影響を与える影響を与え続けることでしょう。

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