2,023.6 議員生活20年、最後の一般質問、「マイナ保険証問題」と「新農業基本法と農業振興」

 6月1日から16日まで、議員任期最後の市議会6月定例会議が行われ、6日には私にとって議員生活最後となる一般質問を、また8日には、これまた最後となる総括質疑を、そして最終日の16日には賛否の討論を行いました。

 まず、私が最後の一般質問で取り上げた「マイナンバーカードをめぐるトラブルと健康保険証の廃止に伴う課題について」と「食料・農業・農村基本法見直しと本市の農業振興について」の概要を掲載したいと思います。
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相次ぐマイナカードのトラブル ~ 市民の安全・利益を損なわないためにカード利用休止すべき
市、「毎日誤情報ひも付けの有無を確認、現時点でトラブルなし」と答弁
 マイナンバーカードをめぐる誤交付、誤登録事例が連日のように明らかになり制度の土台を揺るがしている中、6月2日、現在の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化させるマイナンバー法等改定案が参議院で可決、成立しました。
 私は、まず、本市でのマイナンバーカードをめぐるトラブル発生の状況と市の対応を尋ねました。
 これに対して企画制作部長は、「マイナンバーカードに関してのトラブルは、現時点では確認されていない」、「マイナカードの保有者情報と、市が保有する個人情報のひも付けに誤りがないか、確認作業を行うシステムを毎日運用し、点検している」と答弁しました。

危機管理の観点からマイナカード活用の事務事業は休止すべき
 次に私は、政府には、マイナカードをめぐる全てのトラブルに関して総点検をし、トラブルの全容解明や再発防止策を国民に示す責任があることを指摘し、危機管理の観点からもマイナカードにおける個人情報の誤登録など、全ての問題が改善されるまでの間、市はマイナカードを活用した事務事業を中止すべきではないかと、当局の認識を質しました。
 これに対して企画制作部長は、「本市の事務事業では、手続きナビシステムやコンビニ交付サービスでの各種証明書の交付などにマイナカードが利用されているが、これまでマイナカードにひも付く情報の誤登録などのトラブルは確認されておらず、市民サービスの維持の観点からも事務事業は継続する」と答弁しました。
 いかにも行政らしい答弁ですが、カードをめぐるトラブルが発生していない市の現状は、〝決して誤登録はない!〟と断定できるものではないはずで、市の対応は、危機管理の在り方として問題があると指摘せざるを得ません。

政府の保険証を廃止しマイナ保険証に一体化のメリット論は破綻
 6月2日、改定マイナンバー法等が成立し、来年秋から現行の保険証がマイナ保険証に一体化されることになります。
 私は、政府は、マイナカードで受診するためのオンライン資格確認システムについて、窓口の事務負担軽減と、なりすまし受診の防止を2大メリットとしているが、別人の医療情報のひも付け事例の発生など、政府の謳い文句は破綻していると指摘し、マイナ保険証一体化におけるメリットはデメリットがあっても優先すべきものなのかと当局の認識を質しました。
 これに対して企画制作部長は、個人情報の運用リスクへの不安や、保健資格の取得・変更に伴うデータ反映に一定の日数を要するなどの留意点は、国が責任ある対応をすべきものであり、市としてはこれらを踏まえ、適切な制度運営に努める必要がある」との認識を示しましたが、マイナカードをめぐる住民の不安解消のためには、国任せではなく、国に対し地方から強く意見を言うべきと考えます。
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食料安全保障が〝空文句〟となる国の基本法見直しの中間とりまとめ
20年来の農政の失敗の検証もない「中間とりまとめ」を市は評価
 平成11年(1999)に制定された食料・農業・農村基本法に基づき、同12年(2000)に第1次食料・農業・農村基本計画が策定され、以来5年ごとに見直しがされ、現在、国において見直し作業が行われています。
 5月29日には、その「中間とりまとめ」が発表され、来年の通常国会に改定法案が提出されることになっています。
 私は、今回の基本法見直しは、食料を輸入に依存するもとで食料自給率がどんどん低下し、個々の経営体も資材高騰などで経営存続の危機が懸念される中、これまで以上に重要なものだと指摘し、「中間とりまとめ」に対する市の認識などを質しました。
 これに対し市長は、「国民の視点に立った食料安全保障や、環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換等を基本理念として見直す方向性を示している」とし、見直しの方向性は「平時における食料安全保障や、近年の生産資材・肥料の輸入価格の高騰、気候変動リスク等を踏まえたものであり、本市の食料の安定供給や農業の持続的発展において重要な視点だ」と大いに評価しているとの認識を示しました。
 私は、「中間まとめには、食料自給率低下、農業従事者の減少などを招いた政策の失敗の検証がない。検証を抜きにして、これからの食料・農業・農村の危機打開はない」、また、「中間とりまとめの食料政策の項目には食料自給率についての言及がなく、基本計画での『目標の一つ』と扱いを後退させている」、「食料安全保障を言いながら自給率向上を掲げないことは、食料の国内増産にもつながらず、食料安全保障はただの〝謳い文句〟にしかならない」と中間とりまとめの根本問題を指摘し、「市は国に対して輸入に依存する構造に拍車をかけてきたTPPなど貿易自由化策からの転換と、農業予算を大幅に増額させ、農業経営の安定と持続可能性を保障する方向性を打ち出すよう要請すべき」と市の対応を求めました。
 これに対し、市長と農政部長からは、「これまで会津総合開発協議会などを通して要望を行ってきた。今後も必要な取組について要望する」、「国の動向を注視する」と、危機意識の乏しい答弁しか聞けなかったことは極めて残念です。

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