2023.5 食料・農業・農村基本法見直し ~ 自給率目標未達成原因の検証と農業の採算性向上の方向性を示すべき

今度こそ農政の根本的な転換図る見直しで農業の再生を
 現在、農林水産省の審議会において食料・農業・農村基本法見直しの議論が進められ、6月には中間取りまとめが行われ、来年の通常国会に改定案が提出される見通しです。
 全国農業会議所が発行する「全国農業新聞」3月3日号は、見直しの主な論点として次の6点で紹介しています。

 ①人口減少下の担い手確保
 ②需要に応じた生産
 ③生産性向上・技術開発
 ④持続可能な農業の確立
 ⑤農村の振興
 ⑥備蓄、食品安全・食品表示、知的財産


 いずれも行われるべき議論ではありますが、問題の本質に迫らない上滑りの議論にならないか危惧されます。
 この点で、全国有機農業推進協議会の下山久信理事長は、日本共産党食料・農業・農村基本法見直しプロジェクトチームの紙智子参院議員などと懇談し、「食料自給率向上を掲げた基本法制定(1999年)から20年、なぜ4期にわたる基本計画でも自給率の目標を一度も達成できなかったのか議論がない」と指摘するとともに、「農地の減少と荒廃農地の拡大、自給率の低迷などは、これまでの農政の失敗のつけだ」と批判し、「共産党から根本的な農政の転換の方向性を示してほしい」と期待を語り、さらに下山氏らは、農水省との意見交換で、「農業再生の最後の機会だ」と基本法見直しでの充実した議論を求めています。
 まさに、農業者全体を代表する声だと思います。

日本農業の採算性の低さを打開するための議論と政策を
 農政転換のポイントについて、横山英信岩手大学教授は、「この間の日本農業の衰退の最大要因は言うまでもなく、その採算性の低さにある。これを改善することなしにはいかなる展望も語れない」と指摘しています。
 私は、かつて2017年の農業委員会行政調査で、茨城県つくば市の「来客者の絶えない直売所」、「視察者の絶えない直売所」として有名な「みずほの村市場」を訪問し、株式会社農業法人みずほの長谷川久夫社長から、「原価計算をし再生産が可能となる販売価格を生産者自らが決める」との「みずほの村市場」会員のルールなどを伺い、通常の農産物流通システムと違う手法に驚かされましたが、今回の基本法見直しでは、農業の採算性を向上させる仕組みについての議論がぜひ必要だと、強く思っています。(写真は「みずほの村市場」の外観、直売所風景、長谷川社長の話を聞く農業委員の様子です。)
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